中性脂肪を改善する方法|基準値と食事・運動のポイント
健康診断で「中性脂肪が高い」と指摘され、どう改善すればよいのか悩んでいませんか。中性脂肪は自覚症状がほとんどないため放置されがちですが、放っておくと動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めます。 本記事では、中性脂肪の基準値、高くなる原因、そして効果的な改善方法について解説します。
健康診断で「中性脂肪が高い」と指摘され、どう改善すればよいのか悩んでいませんか。中性脂肪は自覚症状がほとんどないため放置されがちですが、放っておくと動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めます。
本記事では、中性脂肪の基準値、高くなる原因、そして効果的な改善方法について解説します。
中性脂肪とは
中性脂肪(トリグリセライド)は、血液中に存在する脂質の一種で、エネルギーの貯蔵庫として重要な役割を担っています。食事から摂取した糖質や脂質が体内でエネルギーとして使われなかった場合、中性脂肪として体内に蓄えられます。

中性脂肪の役割
中性脂肪は「悪者」として扱われがちですが、実は人が生きるために必要不可欠です。
- エネルギー源:必要な時にエネルギーとして利用される
- 断熱材:寒さや暑さから体を守り、体温を一定に保つ
- クッション材:外部からの衝撃を吸収する
- 臓器の保護:臓器を適切な位置に保つ
中性脂肪が高いとどうなるか
しかし、中性脂肪が増えすぎると以下のような問題が生じます。
- 肥満
- 脂肪肝
- 糖尿病
- 動脈硬化
- 心筋梗塞・脳梗塞のリスク増加
中性脂肪値は、特に過食とアルコールの過剰摂取により上昇しやすい傾向があります。
中性脂肪の基準値
日本人間ドック学会の基準(2018年4月改訂)による中性脂肪の目安は以下の通りです。

中性脂肪値が150mg/dL以上の場合、脂質異常症と診断され、動脈硬化のリスクが高まります。300mg/dL以上の場合は、急性膵炎のリスクも上昇するため、早急な医療機関の受診が必要です。
中性脂肪が高くなる原因

中性脂肪が高くなる主な原因は以下の通りです。
1. 食生活の乱れ
- 糖質の過剰摂取:ごはん、パン、麺類、甘い飲み物、お菓子など
- 脂質の過剰摂取:揚げ物、脂身の多い肉、バター、生クリームなど
- アルコールの過剰摂取:肝臓でアルコールが分解される際に中性脂肪が合成される
2. 運動不足
運動不足により、摂取したエネルギーが消費されず、中性脂肪として体内に蓄積されます。
3. 肥満
内臓脂肪が増えると、中性脂肪の合成が促進されます。
4. その他の要因
- ストレス
- 喫煙
- 遺伝的要因
- 特定の疾患(糖尿病、甲状腺機能低下症など)
中性脂肪を改善するには、これらの原因に対処する必要があります。
中性脂肪を改善する食事のポイント
中性脂肪を下げるには、食事の質と量を見直すことが最も重要です。ここでは、中性脂肪を改善するための具体的な食事のポイントを解説します。
1. 糖質の摂取量をコントロールする

糖質は体内で中性脂肪に変換されやすいため、摂取量に注意が必要です。
控えるべき食品:
- 白米、パン、麺類(適量に抑える)
- 甘い飲み物(清涼飲料水、果糖入りジュース)
- お菓子、スイーツ
おすすめの食品:
- 玄米、雑穀米(白米より血糖値の上昇が緩やか)
- 野菜(食物繊維が豊富で血糖値の急上昇を防ぐ)
2. 青魚を積極的に摂る

サバやイワシ、アジなどの青魚に豊富に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)は、中性脂肪を低下させる効果が認められています。1日1食以上、青魚を取り入れることを目標にしましょう。
3. 食物繊維を多く摂る

食物繊維は、脂質の吸収を抑制し、余分な脂質を体外に排出する作用があります。
食物繊維が豊富な食品:
- 野菜(特に緑黄色野菜)
- 海藻(コンブ、ワカメ、メカブ)
- きのこ類
- 大豆製品(納豆、豆腐)
毎食1品以上、これらの食品を取り入れましょう。
4. アルコールを控える

アルコールは肝臓で分解される際に中性脂肪の合成を促進します。中性脂肪が高い方は、飲酒量を減らすか、休肝日を設けることが重要です。
5. 食事の摂り方を工夫する
次の点に注意しながら食事をするようにしましょう。
- 朝食、昼食、夕食を規則的に摂る
- 腹八分目を心がける
- 就寝前2時間は食事を避ける
- よく噛んでゆっくり食べる
- まとめ食い、ながら食いを避ける
- 薄味を心がける
- 外食はできるだけ控える
中性脂肪を改善する運動のポイント

運動は中性脂肪を効果的に減少させる方法の一つです。運動によって血流が改善すると、体内の中性脂肪がエネルギーとして消費されやすくなります。
推奨される運動の種類
中性脂肪を下げるには、有酸素運動が効果的です。
おすすめの有酸素運動:
- ウォーキング(早歩き)
- 軽いジョギング
- 水泳
- サイクリング
- ダンス
- エアロビクス
運動の頻度と時間
厚生労働省は、生活習慣病の改善には1日30分以上の有酸素運動を週5日以上行うことを推奨しています。運動強度としては「少しきついけど続けられる」と感じる程度(心拍数110〜120回/分程度)を目安に運動を心掛けましょう。
運動時の注意点
以下のような症状がある場合は、その日の運動は中止しましょう。
- 動悸が激しい
- 発熱がある
- 吐き気やめまいがある
- 腹痛や下痢がある
- 足にむくみがある
また、心疾患、腎疾患、関節症などの持病がある方は、運動を始める前に必ず医師に相談してください。
コレステロールとの関係

中性脂肪とコレステロールは、どちらも血液中の脂質ですが、それぞれ異なる役割を持ちます。しかし、中性脂肪が高いと、コレステロールのバランスにも悪影響を及ぼします。
中性脂肪が高いとHDLコレステロールが低下
中性脂肪が高くなると、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が低下する傾向があります。HDLコレステロールは、血管内の余分なコレステロールを回収する役割を持つため、HDLが低下すると動脈硬化のリスクが高まります。
LDLコレステロールの小型化
中性脂肪が高いと、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が小型化し、血管壁に入り込みやすくなります。これにより、動脈硬化がさらに進行しやすくなります。
総合的な脂質管理が重要
中性脂肪だけでなく、HDLコレステロール、LDLコレステロールのバランスを総合的に管理することが、動脈硬化の予防には重要です。
オンライン診療という選択肢

Dクリニック東京ウェルネスのオンライン診療
Dクリニック東京ウェルネスでは、スマートフォンやパソコンのビデオ通話機能を利用したオンライン診療を提供しています。オンライン診療は、厚生労働省が認めた診療形態で、自宅やオフィスから医師の診察を受けることができます。
オンライン診療のメリット:
- WEBから24時間いつでも診察予約が可能
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初診は対面診療が必要ですが、再診以降はオンライン診療をご利用いただけます。
※医師の判断により、再診も対面診療が必要になる場合がございます。
健康診断の結果が気になる方、通院が負担になっている方は、ぜひDクリニック東京ウェルネスのオンライン診療をご検討ください。
まとめ
中性脂肪は、私たちの身体にとって重要な役割を果たしていますが、増えすぎると動脈硬化を進行させ、将来的に心筋梗塞や脳梗塞といった重大な疾患を引き起こす可能性があります。
中性脂肪を改善するには、食事療法と運動療法を継続することが最も重要です。特に、糖質とアルコールの摂取量をコントロールし、青魚や食物繊維を積極的に摂取すること、そして30分以上の有酸素運動を習慣化することが効果的です。
健康診断で中性脂肪が高いと指摘された方は、放置せずに早めに医療機関を受診し、適切な治療と生活習慣の改善を始めましょう。
Dクリニック東京ウェルネスでは、中性脂肪を含む脂質異常症の診療に加え、オンライン診療にも対応しています。健康診断の結果が気になる方は、お気軽にご相談ください。
記事監修者

院長
渡邊 康夫(わたなべ やすお)
Yasuo Watanabe
【略歴】
日本大学付属練馬光が丘病院
日本大学附属板橋病院
日本大学医学部医学科 循環器学博士号取得
川口市立医療センター
東京臨海病院
敬愛病院・敬愛病院附属クリニック副院長
Dクリニック東京ウェルネス 院長
【認定資格】
一般社団法人日本循環器学会 循環器専門医
一般社団法人日本内科学会 総合内科専門医
日本医師会認定産業医臨床研修指導医
厚生労働省指定オンライン診療研修修了
参考文献
- 日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」
- 日本人間ドック学会「検査表の見方(2018年4月改訂版)」
- 厚生労働省「e-ヘルスネット – 中性脂肪」
- 厚生労働省「e-ヘルスネット – EPA・DHA」
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」