脂質異常症の治療薬を解説|種類・効果・副作用について
健康診断で脂質異常症と診断され不安を感じていませんか。脂質異常症の治療では、まず食事療法と運動療法による生活習慣の改善を3〜6ヶ月間行いますが、改善が不十分な場合は治療薬の服用を検討します。
健康診断で脂質異常症と診断され不安を感じていませんか。脂質異常症の治療では、まず食事療法と運動療法による生活習慣の改善を3〜6ヶ月間行いますが、改善が不十分な場合は治療薬の服用を検討します。
本記事では、脂質異常症の治療薬について、種類、効果、副作用を詳しく解説します。
目次
脂質異常症の治療の基本
脂質異常症の治療には、食事療法、運動療法、薬物療法の3つがあります。治療の基本は生活習慣の改善であり、薬物療法はあくまで補助的な位置づけです。

治療の流れ
- 食事療法と運動療法を3〜6ヶ月間実施
- 脂質の値(LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪)を測定
- 目標値に達しない、または動脈硬化のリスクが高い場合に薬物療法を検討
日本動脈硬化学会のガイドラインでも、まず生活習慣の改善を優先し、効果が不十分な場合に薬物療法を追加することが推奨されています。
薬物療法を開始する基準
薬物療法は、以下のような場合に検討されます。
- 3〜6ヶ月間の生活習慣改善でも脂質の値が目標値に達しない
- LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が著しく高い(180mg/dL以上)
- 動脈硬化性疾患(心筋梗塞、狭心症、脳梗塞など)の既往がある
- 糖尿病、高血圧、喫煙などのリスク因子が複数ある
- 家族性高コレステロール血症の診断を受けている
医師は、患者の年齢、性別、既往歴、他の危険因子を総合的に評価し、薬物療法の必要性を判断します。
脂質異常症治療薬の種類
脂質異常症の治療薬は、大きく分けて「コレステロールを下げる薬」「コレステロールと中性脂肪を下げる薬」「中性脂肪を下げる薬」の3種類があります。ここではそれぞれの役割に合わせた治療薬を紹介します。
1. コレステロール値を下げる薬剤
◆ スタチン系製剤(HMG-CoA還元酵素阻害剤)
肝臓でのコレステロール合成を抑制する薬で、脂質異常症治療の第一選択薬として広く使用されています。動脈硬化を予防する効果が認められています。

重要な副作用:横紋筋融解症(筋肉が破壊される病気)は稀ですが重篤な副作用です。ふくらはぎの筋肉痛、脱力感、尿の色が濃くなるなどの症状が現れた場合は、すぐに医師に相談してください。
◆ 陰イオン交換樹脂(レジン)製剤
胆汁酸と結合してコレステロールの排出を促進する薬です。

◆ 小腸コレステロールトランスポーター阻害剤
小腸でのコレステロール吸収を阻害する薬で、スタチン系製剤と併用すると高い効果が期待できます。

2. コレステロール値と中性脂肪値を下げる薬剤
◆ ニコチン酸誘導体製剤
肝臓での中性脂肪とリポタンパク質の合成を抑制し、LDLコレステロールを低下させるとともにHDLコレステロールを増加させる作用があります。

3. 中性脂肪値を下げる薬剤
フィブラート系製剤
中性脂肪の合成を阻害し、中性脂肪とLDLコレステロールを低下させ、HDLコレステロールを増加させる作用があります。スタチン系製剤や抗血栓薬との併用には注意が必要です。

EPA製剤
魚の油に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)から作られた薬で、脂質の合成を抑制し、血液を固まりにくくする作用があります。抗血栓薬との併用時は出血リスクに注意が必要です。

薬を服用するにあたっての注意点
薬物療法は脂質の値を効果的にコントロールできる便利な治療法ですが、薬を服用しているからといって安心しきってはいけません。薬の効果を最大限に引き出し、安全に治療を続けるために、以下の点に注意しましょう。
1. 生活習慣の改善は継続する
薬物療法を開始しても、食事療法と運動療法は継続する必要があります。薬はあくまで補助的な治療であり、生活習慣の改善が治療の基本です。薬を服用しているからといって食生活を元に戻してしまうと、十分な治療効果は得られません。
2. 自己判断で服用を中止しない
検査値が改善したからといって、自己判断で薬の服用を中止してはいけません。薬は全体のバランスを考慮して処方されているため、減薬や中止を希望する場合は必ず医師に相談してください。
3. 副作用が現れたらすぐに相談
本記事で紹介した副作用はすべてではありません。服用開始後、普段と違う症状や気になる症状が現れた場合は、すぐに医師または薬剤師に相談してください。
4. ジェネリック医薬品について
現在では、先発医薬品のほかにジェネリック医薬品(後発医薬品)も選択できます。有効成分は同じですが、添加物などが異なるため、体に合わない・十分な効果が得られないなどの場合もあります。どちらを使用するかは医師や薬剤師と相談して決めましょう。
5. 定期的な検査が必要
薬物療法中は、定期的に血液検査を受けて脂質の値はもちろん、血球・肝機能・腎機能などをチェックする必要があります。薬の効果や副作用を確認するため、医師の指示通りに定期受診を続けましょう。
オンライン診療という選択肢

オンライン診療のメリット:
- WEBから24時間いつでも診察予約が可能
- 待ち時間なしの完全予約制
- 通院にかかる時間と交通費を削減
- 医師が問題ないと判断した場合、再診以降はオンライン診療が可能
- 処方薬は自宅に配送
初診は対面診療が必要ですが、医師が適切と判断した場合、再診以降はオンライン診療をご利用いただけます。定期的な処方薬の受け取りや、血液検査結果の相談もオンラインで対応可能です。
健康診断で脂質異常症を指摘された方、薬物治療を検討されている方は、ぜひDクリニック東京ウェルネスのオンライン診療をご検討ください。
まとめ
脂質異常症の治療は、食事療法と運動療法が基本であり、薬物療法はあくまで補助的な治療です。3〜6ヶ月間の生活習慣改善でも目標値に達しない場合や、動脈硬化のリスクが高い場合に薬物療法が検討されます。
脂質異常症の治療薬には、コレステロールを下げる薬、中性脂肪を下げる薬など複数の種類があり、患者の状態に合わせて適切な薬が処方されます。薬物療法を開始した後も、生活習慣の改善を継続し、定期的に検査を受けることが重要です。
Dクリニック東京ウェルネスでは、脂質異常症の診療に加え、オンライン診療にも対応しています。健康診断の結果が気になる方、治療を検討されている方は、お気軽にご相談ください。
記事監修者

院長
渡邊 康夫(わたなべ やすお)
Yasuo Watanabe
【略歴】
日本大学付属練馬光が丘病院
日本大学附属板橋病院
日本大学医学部医学科 循環器学博士号取得
川口市立医療センター
東京臨海病院
敬愛病院・敬愛病院附属クリニック副院長
Dクリニック東京ウェルネス 院長
【認定資格】
一般社団法人日本循環器学会 循環器専門医
一般社団法人日本内科学会 総合内科専門医
日本医師会認定産業医臨床研修指導医
厚生労働省指定オンライン診療研修修了
参考文献
- 日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」
- 日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療のエッセンス」
- 国立循環器病研究センター「循環器病情報サービス – 脂質異常症」
- 厚生労働省「e-ヘルスネット – 脂質異常症」